STORY

STORY 11「風の行方」

奏の声で手元が狂ったつむぎの風は、
律をミズハの髪を撫でるだけにとどまった。

「どうして邪魔したの、カナちゃん……」

つむぎの声色は、怒りよりも困惑が強かった。
今日この館に律が来ることを想定して待ち伏せをしていたのに、自分以外にそれを知っている奏が皐月と統を連れてきた。
これは弁明のしようがない裏切り行為なのだから。

「これ以上、操り人形になるムギちゃんを……私はもう見たくない!」

館に到着する前に、奏が皐月と統に語った真実。
つむぎという少女に架せられた『秘匿者』という使命。
それは、魔法使いにとって不利な情報や事件を、学生という身軽な身分を使って闇に葬っていく役割(システム)。

しかし、実際は魔法使い連盟にとって都合の悪いことを明るみにしないための、都合の良い道具でしかない。
魔法使いの卵たちに連盟の汚い手が届かないように、学園という小さな学園で卵たちが孵化するのを見守るために、学園長代理という身分を人質に取られたつむぎは従うしかなかったのだ。

「全力で闘ったムギ先輩が倒されれば、連盟もこの件を諦めるはずです」

身体強化を全身に展開させた統が、拳を握りしめながら言う。

「だから、ムギ先輩の相手は私たちがします!」

皐月がそう宣言した瞬間、激昂したつむぎから暴風の塊が放たれた。